ヘリコバクター・ピロリ菌に感染していても
殆どの方は症状がありません
ヘリコバクター・ピロリ菌は、胃や十二指腸に感染して慢性的な炎症を引き起こすバクテリアで、人間の胃の酸性環境に適応し長期間潜伏していることが多い菌です。
感染経路は口からの経口感染が主であり、不衛生な飲食環境や感染者との接触がリスク因子とされています。
感染しても多くの人が無症状であることが多く、胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんのリスクを増加させることがあります。
主な症状としては、胃痛、胃部不快感、消化不良、吐き気、食欲不振などがありますが、これらの症状は他の胃腸疾患とも重なることがあり注意が必要です。
ピロリ菌の治療、除菌について
- ピロリ菌の感染診断・除菌療法は、保険診療の場合、胃カメラでの検査後にしか施行ができません。
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治療は、主に抗生物質と胃酸抑制薬の組み合わせによる除菌療法が基本で、複数の抗生物質を同時に使用し、胃酸を抑える薬を併用して菌を根絶することを目指します。
正しく薬を服用すれば除菌の成功率は70~90%と言われています。 - 一次除菌(初めての除菌)で除菌ができなかった場合は、薬を変更し再び除菌治療を行ないます(二次除菌)。殆どの場合は、二次除菌までで治療が完了します。
- 現状、保険適用は二次除菌までです。そのため三次除菌以降は保険適応外となり自由診療となります。
ピロリ菌の除菌の判定について
- 血液検査と便検査で、除菌判定は便検査で判定いたします。
ピロリ菌の除菌成功後について
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ピロリ菌除菌の成功により『萎縮性胃炎』は次第に治まっていき、炎症の範囲も徐々に狭くなります。しかしながら完全な『ピロリ菌ゼロ』状態にならないケースが殆どです。
そのため最低でも年に1回の胃カメラ検査をおすすめいたします。
監修
たつの胃腸科整形外科
院 長
龍野 光蔵
- 日本外科学会認定医
- 日本医師会認定産業医
- 東大阪市立長瀬北小学校校医